ニュースレターより

ニュースレター2013.6月号より

母乳育児の先にある食育

 

                    葛飾赤十字産院 三石知左子  

 

 私が医師になりたての30年前、アメリカ人の乳児が入院してきました。教授回診で

その子の病室に行くと付き添いのママはベッドの下から瓶詰めのベビーフードでいっぱいになったマーケットで使うようなかごを取り出して何を食べさせようかと選んでいるところでした。その頃は日本でも瓶詰めやレトルトの離乳食は出ていましたが、アメリカの種類の豊富さに目が釘付けになりました。でも病院給食で提供される離乳食を断って瓶詰めベビーフードを与えている不思議さも感じました。

 さて、ここに1冊の本があります。3年前に出版された岩村暢子氏著作の「家族の勝手でしょ!‐写真274枚で見る食卓の喜劇‐」。この本は120世帯に13食を1週間にわたりレンズ付きフィルムで撮影してもらった食卓が載っています。激辛スナックとビスケットと煎餅が皿に盛られた朝食、ビールがあるから味噌汁は要らないという食卓、家族の人数分出されない焼き魚、洗い物をしたくないとパンの直置きや銘々皿を出さずにおかずはご飯に受けて食べて味噌汁も回し飲みの家庭などなど。離乳食も赤ちゃんと一緒だと落ち着かないからと親と別の時間や別のテーブルの別食。そして家庭の食事も中食だったり加工品化しているため、調理途中で離乳食用に取り出して潰したり別に味付けすることができないため離乳食はおのずと市販のベビーフードに。小児科の診察室からでは見えない現実を知らされて愕然としてしまいました。

 5歳児健診で軽度発達障害をチェックするポイントの一つにカレーライスがあります。子どもたちはカレーライスが大好きです。最近は給食のある幼稚園も多く保育園とともにお昼のカレーライスは人気定番メニューです。そこで健診医は質問します。「ねぇ、ママのカレーライスと保育園のカレーライスとどっちがおいしい?」5歳になるとそれなりに相手を気遣う気持ちが芽生えるのでたとえ保育園のカレーのほうが美味しくても「ママのカレー」または「どっちも」と答えます。でも本のような食卓が進むと「おうちのカレーはレトルト」「おうちではカレーは作らないの」などの答えになってしまいそうです。

 明治の軍医石塚左玄は「通俗食物養生法」にこう書いています。

「今日、学童を持つ人は、<体育>も<智育>も<才育>もすべて<食育>にあると認識すべき」

 

運営委員長からのご挨拶(ニュースレター2011.10月号より)

東日本大震災から半年というのに、また台風・大雨という大きな災害に見舞われました。被災地の皆様には、お見舞い申し上げます。

 東京母乳の会は、7月3日の総会と講演会・シンポジウムを170余名のご参加をいただき、意欲的な発表と活発な討論があり盛会の裡に終えることができました。会員、参加者の皆様のご協力に感謝いたします。

 さてこの度、「助産雑誌」20094号から20103号までの1年間にわたり掲載された内容を、医学書院のご協力をいただき、日赤医療センターBFHI推進委員会が中心となり、BFHを目指す病院に役立つ指南書「チームで支える母乳育児」として再編集し刊行することになりました。また、この本の編集・執筆に関する報酬は東京母乳の会の活動費の一部になります。つきましては、108日・9日に日赤看護大学広尾ホールで開催される第26回日本母乳哺育学会・学術集会の会場において東京母乳の会として販売いたします。BFHを目指す病院のみならず、母乳育児支援の活動をされている方々にも参考になると思います。病院内での組織づくりや日常臨床での母乳育児支援など、推進運動の広がりに寄与できれば幸いです。

 東日本大震災のため延期されていた今年度のBFH認定審査がこの秋に行われています。東京に2番目のBFHが誕生することを期待したいと思います。

運営委員長からのご挨拶(ニュースレター2010.7月号より)

 <ご挨拶>

 運営委員長 杉本充弘

 本格的な夏がやってきました。今年も地球温暖化の影響で猛暑が予想されています。会員の皆様も熱中症に気をつけ、体調を崩さぬようにしてください。

 さて、第2回東京母乳の会ワークショップが66日(日)に日赤医療センターで開催され、63名の参加があり、活発な討議が行われました。アンケート結果をはじめとする報告から、その熱気の一部を再び感じ取ることができました。さらに、第10回東京母乳の会講演会・シンポジウムが626日(土)日赤看護大学広尾ホールで開催され、134名の参加がありました。動物写真家内山 晟さんの特別講演「動物の親子から何を学ぶか?─動物の子育て─」は、美しい自然の中に生きることの厳しさを感じさせ、子育ての原点を考えさせるものでした。また、シンポジウム「妊娠中からの母乳育児─産後につなげて─」は、5名のシンポジストそれぞれの施設を中心とした母乳育児の取り組みが発表され、施設環境の違いと、施設内・外の連携という共通の課題が確認されました。今後、課題の克服に向けて、それぞれの立場で努力されることを期待しています。

会員の皆様のおかげで、東京母乳の会の2つの大きなイベントを無事に終えることができ、お礼申し上げます。また、ワークショップと講演会・シンポジウムのお世話をしてくださった運営委員・事務局をはじめとする方々に、深く感謝いたします。

総会では、運営委員23名、監事3名、事務局担当幹事3名が承認されました。任期は2年です。皆様よろしくお願いいたします。

運営委員長からの挨拶(東京母乳の会ニュースレター2007.11.13号より)

東京母乳の会運営委員長 杉本 充弘 
(日本赤十字社医療センター 産科)
第7回東京母乳の会総会において運営委員長を貴家和枝さんより引き継ぐことになりました.東京母乳の会は2000年8月に日本赤十字社医療センターが「赤ちゃんにやさしい病院(BFHI)」に認定されたのを機に設立され,2001年7月7日に仁志田博司世話人のもと東京女子医大弥生講堂で第1回総会が開催されました.会の運営は赤松 洋初代運営委員長を中心にスタートし,愛育病院,聖母病院,聖路加国際病院,東京女子医大病院,日赤医療センター等のスタッフが主体となり,その後若干名の委員の交代はありましたが,今日にいたっています.
昨年第15回母乳育児シンポジウムが東京で開催され,薗部友良実行委員長はじめ東京母乳の会の多くの会員が実行委員会に参加され,東京における母乳育児推進運動も一定の高まりをみせました.しかし,発足以来満6年になりますが,この間東京で新たにBFHIの認定を受けた施設がないことや,会員数の増加が僅かであることは,東京における母乳育児推進運動の停滞を示すものと考えられます.
会の事業として,定例勉強会,医療者・市民向け講演会,刊行物の発行,母乳育児支援団体との連携等を行うことになっています.今後,勉強会とニュースレターの充実に加えて,ホームページを開設し広報活動をより活発にしたいと思います.また,今年の3月に厚生労働省が策定した「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに,地域の保健所・保健センターとの連携を強化し,出産施設退院後の母乳育児支援につなげたいと思います.さらに,母親グループとの交流や本会への参加を促進することも今後の課題と考えています.
昨今,妊娠・出産・育児に関わる医療者の環境は一層の厳しさを増していますが.親子のスタートを支援する喜びと重要性を改めて認識し,母乳育児支援推進の輪(和)を広げたいと思います.会の活動の結果として,東京に多くのBFHIが誕生することを期待しています.